これは、1995年にアメリカで出た本のタイトルを日本語にしてみたものです。
日本語訳は出ていないようです。
原題『Dressed to Kill: The Link Between Breast Cancer and Bras』
(原題は、映画のタイトルをもじってるようです。)
女性なら「えぇ??」と思わず見てしまうタイトルだと思います。
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乳がんは、欧米では、女性の約10人に1人が発病し、
その約2割が死亡しています。
最近は日本人女性でも増えていて、女性のかかる
がんの中では現在最も多いものです。
最近目にするようになった「ピンクリボン運動」は、そういった傾向を
踏まえたものなのでしょう。
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乳がんのリスクの高い要因として、今まで挙がっていたのは
初経年齢が早い、出産歴がない、などホルモンに関係するものがほとんどでした。
ほかには、食生活の洋風化について指摘されることもあります。
そのうえで、ブラジャーと乳がんの因果関係が深いという研究結果を
まとめたのが上に挙げた本です。
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○その仮説は・・・・
ブラジャーをすることで、リンパ系を締め付けられ、
発がん性のある毒素が乳房内にとどまって
乳がんを発症させるのではないか。
(リンパ系は免疫機構の一部であり、体内から老廃物や毒素を
取り除く役目を果たしています)。
乳房は、ほとんどが脂肪組織ですが、人間の体の毒素は、ほとんど
体脂肪内に蓄積されます。
しかし、女性がきついブラジャー、特に補正力が強いものを
身につけた場合、乳房が締め付けられ、リンパ系の機能がうまく働きません。
○調査結果は、・・・・
この仮説を検証するために、2年半調査をしました。
1991年5月から1993年11月までの期間、
米国の都市 で、乳がん患者 2,056人と
乳がんと診断されたことがない 2,674人、
合計4,730人にアンケートをとりました。
その結果、ブラジャーの着用時間と、乳がんにかかるリスクとの間に
強い相関関係があることが分かりました。
ブラを「24時間着用する女性」 4人に3人(75%)が乳がんに罹患
ブラを「全く/ほとんど着用しない女性」の場合、168人に1人(0.6%)
前者の罹患率は後者の125倍
ブラを「12時間以上着用する女性」 152人に1人
「全く/ほとんど着用しない女性」の場合、 168人に1人(0.6%)
前者の罹患率は後者の113倍
「12時間以上着用する女性」は、
「着用時間が12時間未満の女性」 に比べて罹患率は21倍
この研究では、他のリスクを考慮していないのですが、
他の乳がんリスクの間で比較をしても、罹患率はほとんどが3倍以下
であることを考え合わせると、仮説を裏付けるのに説得力のある
データと言えるでしょう。
*ブラジャーと乳がんとの因果関係を述べた研究は、
1991年、また2002年にもでています。
☆なお、ワコールのサイトでは、確認できなかったのですが・・・・
ワコールの調査によると、調査した女性の31%は、ブラジャーを着けたまま
就寝しているという記述を、この本を紹介している歯科医師の方のブログで見ました。
理由は、乳房の形が崩れるのを防ぐため、安定させるためだそうです。